制限するということ

カウンセリングを進める中で、思うように行かない、うまく行かない、と思っていた事柄が、実は自分で自分を制限していた結果だったと気づくことはよくあります。

「制限する」物事に限界や境界を設けること(デジタル大辞泉)、とあります。
ここまではいい、ここからはダメ、と言う境界線を決めることですね。

最近はメンタル・ブロックや心理ブロックという言葉も使われているようです。それぞれ、私たちの言動を左右する心理的な要素の一つを指します。
自分の行動にブレーキをかけたり、本当の気持ちが分からなくなったり、思いとは裏腹の態度をとらせたりします。

男の子が好きな女の子に悪態をつくレベルなら可愛いものですが、進学、キャリアや結婚など大人の社会生活も、毎日の小さな事柄から大きな決断まで、様々な場面で制限されています。
正しくは、制限していると言うべきでしょうか。限界は自分で決めているのですから。

私たちは、とても幼いころから周りの人々に喜んでもらいたいと努力を続けています。
人のあり方としても、社会生活を営むうえでも、本当に大切な姿勢です。
けれど、ともすると自分よりも周囲の人々を優先し、自分の気持ちを抑え込んでしまうことがあります。
自分の考えや態度を表現する前に、相手の期待に応えようと、言動を自ら制限して我慢するのです。

我慢は、悪いことでも間違ったことでもありません。避けては通れない状況だってあるでしょう。
けれど、我慢を繰り返しているうちに、我慢していることさえ忘れてしまったとしたら、どうなるでしょうか?

気持ちを抑え込むことを「抑圧(よくあつ)」と言います。
抑圧そのものは、悪いことでも間違ったことでもありません。心を守ろうとする人間の自然な行動です。

人は生まれた時から我慢の連続です。(お母さんのお腹から出たくなくても、出なければいけなくなるんです)
小さな子供でさえ、すべてが自分の思い通りに行くことなど期待できないと知っています。
だからこそ気持ちを抑圧します。叶わない夢なら初めから見ない方がまし、となってしまうんですね。

抑圧は繰り返しているうちに習慣になります。
そうすると、自然に沸き上がってくる自分の思いを打ち消そうとしたり、それが出来ないと無視したりするようになります。
自分の望みや願いに鈍感になって、もっと進むと感情さえ感じられなくなってしまいます。

制限の多い人は、一般的には真面目ないい人と思われています。子供なら、手の掛からない、言うこと聞くいい子です。
その時その場で、周囲は自分にどんな期待をしているのかを汲み取り、それに応えようと振る舞います。
また、「~したら」「~の方がいいよ」と言ってくれる身近な人の考えを、優先したり鵜呑みにしたりします。
そうやって成長すると、知らず知らずのうちに限界を定めて「~すべき」「~してはならない」に従って生きるようになります。
そうしていれば、誰かが喜んでくれるし自分も安心、という風に感じられるからです。
結局のところ、制限とは、自分を良い人間、役に立つ存在にしたいと望んで身につけた考え方です。

もし、自分にも当てはまるところがあると感じているなら、まずは心の奥深くに目を向けてみてください。
何をどう制限するかは心の深い部分にある、コア・ビリーフ(中核信念)と呼ばれる信念の影響を受けています。

ポイントになるのは「ねばならない」という考えです。この「ねばならない思考」には、あなたのコア・ビリーフが隠れていることが多いのです。
そして、その信念が何を得ようとしているのかに思いを巡らせてみてください。
もともとは「自分のためになる」と信じていた考え方です。どんな考えであろうと、どんな厄介者であろうと、あなたのコア・ビリーフはあなたの敵ではありません。

あなたの気づいているあなたも、気づいていないあなたも、すべてあなたの一部であることをどうぞ忘れないでくださいね。

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